軽く混乱しながら、ギュッと目をつぶっていた。
わけがわからなかったけど、平くんの腕の中だから、妙に安心できた。
大丈夫だ、って。
音が止んで、平くんが深く息を吐き出す。
「平くん、ありが……」
「何やってるんだよ!」
「えっ」
肩をつかまれて、飛び上がりそうになった。
あの平くんが。
いつも物静かな平くんが、怒った。
わたし、平くんに怒鳴られた……?
「あんな体制で箱詰めなんて、危ないだろ!」
「で、でも脚立がないと……」
「言いわけしない!」
「ごめんなさいっ」
平くんが恐すぎて、土下座する勢いで謝るしかなかった。
どうしてこんなに怒ってるのって、頭を下げながらまた泣きそうになる。


