作っても、彼の手に届くことがないとわかっていながら、未練たらしい。
食べてもらえないチョコレートがかわいそうで。
そんなチョコレートを作った自分が哀れで。
彼を想って、誰もいない倉庫でひとり泣いた。
彼の笑顔を思い出すと、胸が張り裂けそうで苦しくて。
ぎゅうっと、身体を縮めて声をころして泣いた。
泣いても泣いても、胸の痛みはいっこうに軽くならなくて。
このままここにいても、迷惑になるだけけだと、なけなしの気力でもって自分をふるい立たせる。
ぬれた頬を乱暴にぬぐって、空き箱を手にとった。
補充するチョコレートは……棚の上の方にあった。
脚立を引っぱってきて、ダンボール片手に階段を上がる。


