1年生の頃、勉強を教えてくれたお礼が今日までできずにいたから。

クッキーはそのお礼。

それとこの間の告白の返事も兼ねている。


平くんのおうちでの言葉が冗談だったなら、それでいい。

でも冗談じゃなかった場合は、早めに言っておかなきゃいけないと思った。


それは聡くんのためだけじゃなく、自分のためにも。



「ごめんなさい」



下駄箱に向かって手を合わせ、その場を離れる。

あんまり長居して先生に見つかったらまずい。


さっさと退散しようと思ったのに、玄関を出たところで見てしまった。

校門の前で立ち話をするふたりを。


それは遅刻でもしたのか、制服姿の木内さんと——



私服姿の平くんだった。