もう1度良かったと繰り返して、平くんはわたあたしに背を向け普通に歩きだす。


でもあとから恥ずかしくなったのか、背中を丸めて今日はないフードをまたかぶろうとする。

結局ごまかすように自分の髪をくしゃくしゃとかき混ぜていた。


そしてわたしは彼を追うことも忘れ、立ち止まっていた。


いまのって、どういうこと?

まさか……でも、いや、そんな。



じわじわと、熱くなっていく頬。

どきどきと、走り出す鼓動。


ひどい人だ。

どこまでわたしを虜にして翻弄するつもりなんだろう。


平くんにそんな気はないとわかってはいても、恨めしく思わずにはいられない。




好きです。

あなたが、好きです。