卒業まで100日、…君を好きになった。


聡くんの言葉が冗談じゃないのなら、素直にうれしいと思う。

でも、生意気だけど、身のほどを知れって感じだけど、彼への答えは決まってる。


“NO”だ。


わたしがいま好きなのは、恋をしているのは、お兄さんの平篤くんだから。


だからこそ、平くんに知られたくなかったのに。

わたしが1年の時、弟の聡くんをいつも見つめていたことを。


きっと彼に気付かれてしまった。

わたしが聡くんを好きだったことを。


知られたく、なかったなあ。


平くんにどう思われるのか恐い。

弟の代わりにしてる、なんて思われて嫌われたら……きっとわたし、立ち直れない。



「ごめんね」

「……えっ!? 何が!?」



突然隣りを歩いていた平くんがぽつりと謝るから、びっくりして立ち止まってしまった。

彼も立ち止まって、ゆっくりわたしを振り返る。