「何言ってんだよ。俺たちはとっくに別れてる」
「だから、別れても好きなんだろ」
平くんの横顔を盗み見れば、困惑するように眉を寄せている。
弟の言葉が信じられないんだろう。
「木内がお前にかなり強烈にアピールしてるって、瀬戸から聞いたぞ」
「最初はね。でも木内さんが俺の方に来たのは、俺が篤の双子の弟だからだよ」
「何だよそれ。意味がわからない」
「そのうちわかるさ」
面白そうに言って、聡くんがまたわたしに目を移す。
やっぱりいつも通りの笑顔がそこにあって、さっきの告白めいたセリフは冗談だったんじゃないかと思いかけたんだけど――
「考えておいてね、春川さん」
「えっ」
