「聡。お前、いい加減にしろ」
隣りの平くんが、唸るような低い声を出した。
いつも無表情な彼の眉間に、くっきりと深いシワが寄っている。
平くんが怒ってることにもびっくりして、わたしはもう何も言えなくなってしまった。
「何が? 俺は別にふざけてなんてないよ?」
「どこがだよ」
「本当だって。俺春川さんのこと、1年の頃気になってたし」
うそだ!!
と叫びたかったけど、驚きの連続で声が引っこんでしまっていた。
「なんか、よく目が合うなって思ったのが最初」
今日いちばん驚いたけど、衝撃すぎてやっぱり声が出てこない。
気付いてたんだ!
わたしが彼を目で追っていたことに、彼は気付いてた。
気付かれていた。


