「おい聡。見過ぎだ。失礼だろ」
「ごめんごめん。……ねぇ、春川さん」
「は、はい?」
聡くんはテーブルにコップを置いて、空いてるソファーに腰かけた。
長い足を組んで、頬杖をつきながら、こっちを見て微笑む。
「篤と付き合ってないなら、俺はどう?」
変わらない穏やかな口調と声、そして笑顔のまま彼はそんなことを言った。
あまりにもそれがいつも通り過ぎて、何を言われたのか一瞬わからなかった。
「……え?」
いま、彼、何て言った?
俺はどう?
どうって、どう? 何がどう?
さっき平くんが言ってたことがよくわかる。
笑顔が完璧すぎて、セリフとズレが生じるから理解できなくなるんだ。


