「拓? うーん。相変わらずピリピリはしてるけど、あんまり突っかかってこなくなったかも」
「よかったじゃん」
「うん。でも落ち着いたとかじゃなくて、わたしに構う余裕がないだけなんだと思う」
平くんに万引きは勘ちがいだったようだと話したら、自分の家族のことのように安心した顔を見せてくれた。
本当に心配してくれていたみたいで、わたしはうれしくて泣きそうになったくらいだ。
平くんはやっぱり、優しすぎる。
「そちらの弟さんは?」
「聡は……どうかな。あいつ表情が常に一定だから、よくわからないんだよね」
「一定?」
「そう。常に笑ってるでしょう」


