「自分の思い通りにいかないからって、勝手なこと言わないでよ」
「唯!」
お母さんがハッとした顔でわたしをしかりつける。
「わたしは拓のこと応援してるから!」
箸をテーブルに叩きつけて、立ち上がる。
お父さんは何も言わない。
いつもいつも、必要以上のことを言わないお父さん。
わたしのことなんてどうでもいいと思っているのか。
何を考えてるのかよくわからなくて、不安になって、恐くなる。
察しろ。言わなくてもわかれ。
小さい頃からお父さんにそう言われてきた。
言ってくれなきゃわからないことの方が、ずっと多いのに。
「唯。お父さんに謝りなさい」
「なんで? 謝らなきゃいけないことしてないよ。もう行くね。ごちそうさま」


