身体を強張らせたわたしを見て、平くんが口をつぐむ。
しばらくお互い無言で向き合っていたけれど、やがて平くんが頭を抱えるようにしてうなだれた。
「はあー……」
うなるような、溜め息のようなその声にびくびくしながら次の言葉を待つ。
泣きそうだった。
平くんに嫌われるのは、いまは何よりキツいと思った。
そんなわたしの気持ちなんて知る由もない平くんは、何か衝動を堪えるようにガリガリと頭をかくと、うつむきながら「何でもない」と言った。
何でもない、っていう様子じゃ全然ないのに。
「でも、あの。わたし何かしたんじゃ……」
「本当に、何でもないんだ」
「けど平くん……怒ってる、よね?」


