ただ、右と左で向きがちがうけど。


そこまで考えて、頭に何か引っかかるものがあった。

でも、何に引っかかったのかまではわからなくて、違和感だけが残る。

いま何がどこに引っかかったんだろう?



「でも随分仲がよさげだよね」

「お前には関係ないだろ」

「双子なんだから、隠さなくてもいいだろ?」

「弟でも関係ない」


強い口調できっぱりと、平くんは拒絶した。


行こう、と平くんに手首をとられて歩き出す。

そのまま聡くんの横を通り過ぎた時、ちらりと彼の顔を見れば目が合って、柔らかな笑顔で手がふられた。


信じられない気持ちで、手を振り返すこともできないまま足だけ動かす。


びっくりした。

いまさら彼と会話できるなんて。

彼がわたしを覚えているなんて。