「……なんだよ」

「いや。篤が女のコといるの、珍しいなと思って」

「そうかよ」



なんだか、平くんの雰囲気がいつもとちがう。

少し固いというか、刺々しいというか。

口調も微妙に乱暴だし。


男兄弟と話す時って、こんなものなんだろうか。



「もしかしてふたり、付き合ってるの?」

「ち、ちがいますっ!」



思わず、そう叫んでいた。


その声の大きさに自分でもびっくりして固まってしまう。

兄の平くんも弟の平くんも、同じ顔して驚いている。


だ、だって。

なぜかみんなして、付き合ってるのかって聞いてくるから。

だから……。



「付き合ってないんだ?」



弟の平くんが、小さく右に首を傾げて聞いてくる。


あ、同じクセだ。

兄の平くんもよく首を傾げている。