卒業まで100日、…君を好きになった。


しゃがみこんで、ティッシュを出して、潰れたケーキを紙皿に戻す。


すると奈々が駆けよってきてくれた。



「唯、わたし拭いておくよ」

「奈々。でも……」

「あー。唯、靴下と上靴も汚れちゃってる。手もクリームだらけだし、洗っておいでよ」



本当だ。

よく見たらわたし、白いクリームだらけ。



「ありがと奈々」

「いいのいいの。早く行っといで」

「うん」



ちらりと葉子ちゃんを見ると、いままで見たことのないような表情をしていた。

くしゃりと顔を歪めて、唇を噛んで、何かに耐えているような。


まるでそれは、悪いことをしたとわかっているのに、素直に気持ちを言葉にできない、小さな子供みたいな顔だった。