いつの間にか、賑やかだった教室は静まりかえっていた。
背中にクラスメイトたちの視線を感じる。
このままじゃいけない。
なにか、言わないと。
せっかく良い雰囲気になってたんだから、わたしがどうにかしなくちゃ。
このあったかい空気を壊したくないなら――。
しっかりしろ。
顔を上げて、口角を引きあげて、声は震えないように張り上げて。
さあ、しっかり。
「……ごめんね!」
教室に響きわたるくらいの声で言った。
笑顔のわたしに、葉子ちゃんが信じられないようなものを見たような顔をした。
「葉子ちゃんの分、落っことしちゃった! あ、でもまだケーキは残ってるから大丈夫だよ!」
「え、あ……」
「あーもうぐちゃぐちゃだあ。ほんとごめんね? すぐここ片付けるから!」


