「受験生に、クリスマスなんてないって……葉子ちゃんは思ってるのかもしれないけど」
「は?」
「受験生だからって、楽しんじゃいけないわけじゃないよね」
楽しんでる時間なんてない。
みんなきっとそう思ってる。
私も高校受験の時はそういう気持ちだったからわかる。
「だからさ。せめてケーキ食べるくらい、いいんじゃないかなって。雰囲気だけでも味わえるでしょ?」
「……いいって」
「作ったのが誰でも、ケーキに罪はないって思ってくれないかな?」
我ながら美味しくできたと思うんだ。
平くんも慣れない手つきでがんばってくれた。
イチゴをカットしたの、ほとんど平くんなんだよ。


