素っ気なく言うと、葉子ちゃんはスマホに視線を戻した。
ケーキには見向きもしない。
大好きなものを拒絶するのは、それを作って、そして持ってきたのがわたしだからだ。
早退した日以来、葉子ちゃんとは言葉を交わすことも少なくなっていた。
わたしが葉子ちゃんに話しかけるのは簡単だけど、それで葉子ちゃんを更にイライラさせてしまうのは目に見えてる。
だからなるべく葉子ちゃんを刺激しないように、彼女の前では静かにしていた。
でも、今日くらいはと思ったんだ。
最後の授業が終わって、明日から冬休み。
2月に1日、最終登校日があるけど、それまで顔を合わせることもなくなる。
このまま会わなくなるのは寂しすぎるから。


