葉子ちゃんだ。
つまらなそうに、もしかしたら不機嫌そうに、スマホ片手に肘をついている。
わたしは残っていたケーキを紙皿にとって、葉子ちゃんの前に立った。
ちょっとキツめの葉子ちゃんの瞳が、わずらわしげにこっちを見る。
「……なに?」
「葉子ちゃんケーキ、食べてないよね? イチゴいっぱい乗ってるやつ持ってきたから、よかったら食べて!」
イチゴは葉子ちゃんの大好物だ。
ファミレスとかでもよく、イチゴパフェとかイチゴタルトとか、イチゴのデザートを注文していた。
イチゴのキャンディも鞄に常備されているのを、わたしは知っている。
なのに、
「いらない」


