◇◇◇
「琴梨、可愛いじゃん!!って、
どうしちゃった?
買ったワンピースは?」
式場に着くと、
七海ちゃんが駆けよってきた。
でも、
お揃いのすみれ色のワンピースではなく、
ベージュのワンピースを着ていることに、
七海ちゃんは驚いている。
「礼音くんに……
こっちの方が良いって言わたから……」
「そうだったのか……
礼音くんの好みって、こっちだったか……
琴梨ごめんね。
私が勝手に、ワンピを選んじゃって。」
「七海ちゃんが謝ることじゃないよ。
私の方こそごめんね。
あんなに一生懸命、
私に似合うワンピを選んでくれたのに……」
「それはいいけどさ。
礼音くんに、
ベージュのワンピの琴梨も可愛いって、
言われたでしょ?」
ニヤニヤしながら、
私を肘でつつく七海ちゃん。
「言われて……ない……」
「え?信じられない?
あの、琴梨しか視界に入ってないような
礼音くんが?
言ってくれなかったの?」
「土曜日に喧嘩しちゃって……
口をきいてもらえてなくて……」
「じゃあ、髪のセットはどうしたの?」
「この結婚式場の美容室で、
アップにしてもらった」
「ずっと琴梨に
言おうと思っていたんだけどさ……」
いつも笑顔の七海ちゃんが、
急に真顔になった。
「ん?」
「礼音くんと、無理して付き合ってない?」
「え?」
「だって琴梨って、
礼音くんに合わせすぎてるでしょ」
私が礼音くんに……合わせすぎ?
「そんなことないよ」
「だって琴梨の基準って、全て礼音くんじゃん。
礼音くんが喜ぶ服を着て、
帰ってくるまで、
眠たくても起きて待っていて、
読みたい小説より、
ファッション雑誌読んじゃってさ。
礼音くんに嫌われないようにって必死じゃん」
「……」
「自分の本当の気持ち、
押し殺してるんじゃないかって心配になる」
「私はムリなんかしてないよ。
礼音くんが隣にいてくれるだけで、
幸せなんだから」
「琴梨ごめんね。
責めてるとかじゃないんだよ。
たださ、
たまに無理してないかなって心配になるだけ。
ごめんごめん、今のことは忘れて」
「七海ちゃん……」
「あ、チャペルに移動だって。
後藤さん、どんなドレスか楽しみだね」
私も笑顔でうなずいた。
でも心の奥が、ザワザワする。
私は本当に……今のままでいいのかな……



