クリスマスも近い。
 それなのに僕は片思いの子を遠くから見つめるだけ。
 ラグビーだってバレーだって奇跡の勝利を収めたのだ。僕にだって奇跡が起こってくれても良いと思う。
 寒気がふきすさむ猛吹雪の中でも、あの子が隣に居ればホッカイロも石油ストーブも電気ストーブも敵わないくらい心が暖かくなるはずなのに。
 

 きっかけさえあれば、同じクラスだったらといつも悔やむ。
 僕が絶世の美男子で尚且つモテまくるパラレルワールドを選択できたのなら、いつもは友達と楽しそうに笑い合っているあの子は僕に振り向いてくれるのだろうか。
 日暮れが早くなった12月の夕方の空は僕の心を更に深くへと沈める。その沈んだ行き先が僕とあの子が手を繋いでいるパラレルワールドだったらいいのにな。