これは本当にあった僕の体験談を綴ったエッセイです。
 いや正しくは現在進行系の男子高校生の片思いエッセイです。

「これは何を描いているの? 」

 文化祭の準備中、違う組で、しかも今まで話した事の無い女の子が僕に話しかけてきた。風貌はいかにも部活女子風でありショートカットでサイドを前に流す髪型の女の子だ。
 僕に話しかけてくる女の子は中々居ない。見た目の暗さとひねくれ具合が相まって米津玄師からかっこよさと音楽センスを全て奪ったら僕になるのではないかと自負するくらい僕は冴えない男なのだ。
 だからかわいい女の子に話しかけられたら舞い上がらないわけがないのだ。てなわけで早速説明をする。

「これはね文化祭出し物のハンバーガーのチラシを描いてるんだよ。でもね、ここにピクルスが描いてあるけど実際は予算の関係でピクルスは入れられないんだ。だからよく考えると詐欺だよね! 」
 いかにも童貞感丸出しで早口な説明である。途中噛んでたしな。
 それでもその女の子はふーんと言いながら自分の組に帰っていった。
 この時僕は胸の特別な鼓動に気づけなかった。