あの一件からだいぶ経つが何も変わらない。
唯一変わったといえば退院している事だけ。
紗奈は、死んだ様な冷たい表情に眼をしてる
誰に何を言われても何も感じなくなっていた
紗奈の中では全てがどうでもよくなった。
そんな紗奈を見ているのに限界が来た郁斗は
全然家にも帰ってこず荒れまくっている。
しかし今の紗奈が紗奈で居れる時がある。
そう、それは郁斗の存在だ。今の紗奈には
郁斗が心の支えのひとつになっている。

「郁斗…どこ行ったんだろ」

深く考える事は無いがそう考える事はある
腐っても家族は家族だから。
そんなこんなしてると学校も終わりの時間
紗奈が帰っていると後ろから声がして

「なあなあ紅月死人みたいなったよな…」
「こえーよー。殺されちまいそうだよ俺」
「そもそも雷龍裏切るから悪いんじゃん」

そんな噂話をしているがそれすらも
全くをもって興味が無くなっている

「……あ……遠回りして帰ろ」

いつもは絶対しないが何故か今回だけ
遠回りをして帰る事にした紗奈

「……」
「なー 姉ちゃん俺達と気持ちいい事しよーよ」
「……」
「え、もしかしてしちゃってんの?うっほーい」

顔色が悪いだけでそう思われる紗奈は
余程酷い表情と眼をしているんだろう。

「…………」

話しかけられても無視するが周りはしつこい

「無視すんなよ」
「おいってー こっちこいよ」
「おい、無理やり連れてくぞ」

大の男3人係で紗奈を車に乗せようと
車に向かうが紗奈は何一つ抵抗しない。
後少しで車に乗せられる所で何かが来る

「……おい、何か来てねーか?」
「あ?それより早くしろよ!」
「黒のセルシオ…77っおいやべーぞ!」

ガッシャンッ ドンッ

時既には遅かった男3人組
男3人の車は ぶつかり、壊れ、タイヤ撃たれ
とても人間が乗れる状態ではなくなった。

「お、お、おい」
「な、なななんでこいつらが」
「……この女関係者なのかよ!?!?」

3人は怯え始めて何かを勘ぐりだす
そんなこんなをしていると黒のセルシオから
人が降りてきた。スーツ姿のイケメンだ。

「お前ら…その子との関係は?」

凄いオーラが出ている男は静かに質問する

「ななななんで…なんであんたがここに」
「最後に聞くぞ…その子との関係は?次はない」

脅しと言えばそうなるが空気が重たくなり
冗談話ではない事は、誰にでも分かる空気だ

「…知らないです」
「知らない子に薬漬けしようとしたのかよ〜」

ニコニコ笑っているが目は全くもって
笑っていない…笑っていない所か目が鋭い

「しかも高校生じゃーん、変態じゃーん」

ニコニコしている為3人は顔を見合せ
合わせる様に笑った

「はははは」
「テメーらが笑ってんじゃねーぞごらぁ」

バキッゴキッ バンッバンッバンッ

その瞬間終わりまでが早かった。秒だった
そう…殴られ蹴られ……銃で殺られたのだ。
それも………普通なら目を疑う速度。
それでも紗奈は何一つ 一部始終動じていない
そんな紗奈を見て男は笑い 連れて帰った。