そう、壊れる瞬間は早かった ーーー
楽しく過ごしていた時から半年後の事。

私はいつも通り皆で食べる弁当を用意して
倉庫へ向かう。ただ、いつもは誰かが
迎えに来てくれていた。でも誰も来てない
誰一人として電話にも出ないから
心配になり、全速力で走って倉庫に向かう。
すると、いつもは螺旋階段を上がった所に
ある部屋に蓮達は集まっているのに何故か
集会所のド真ん中に立っている5人と…
泣き崩れている少女が一人……

「……どうしたの…みんな…」

蓮達の元へ向かう紗奈だが晃と目が合い
怖い目つきで、晃に睨まれた 紗奈

「……裏切り者の登場か」
「……え?」

裏切り者…と晃が発した瞬間下っ端から
蓮達、その場にいる全員が紗奈の方を見る

「…何を言ってるの?晃くん…」
「気安く呼ばないでくれるかな?」
「えっ…」
「だから…待てっつってんだろうがよ!」

紗奈に対する態度にキレ始め本当に怖い
表情をし、晃の胸ぐらを掴み始める。

「…え…裏切り者…って…な…に…」

突然の晃からの言葉と周りの視線が鋭く
恐怖心に煽られ頭の中がパニックになるが

「貴女には…雷龍から脱退して頂きます。」

汚物でも見た様な眼で紗耶に宣告する魁斗

「魁斗さん…?」

「俺さ、お前の事信用してたんだけど。」

凄い低音でドスを利かした声で告げる 麻耶

「ちょっと待って…」

心臓が痛く、声自体も、か細くなる 紗奈

「クズが二度とその面見せんな。絶対許さねえ」

聞いた事のないドス低音で睨み告げる 蓮

「ねえ…蓮……何……言ってるの…?」

全く言われている意味が分からず動転する

「おい蓮!!!いい加減にしてくれよ!」
「お前こそいい加減にしろ。」

郁斗は怒りのあまりイライラさえ止まらず
蓮の聞く事の無いドスが効いた声にさえも

「やってられっか…俺雷龍降りるわ」

ガシャンッ

郁斗は今にでも人を殺めそうな眼をして
倉庫のドアを蹴り壊し紗奈を見て手を引っ張る

「行くぞ…こんな所にいる必要はない。」

そう告げて、雷龍を飛び出ようとした途端

「待って!!!騙……されてる…郁斗君…」

突然座り込んでた女の子が叫び始めた。
そう…女の正体は言うまでもない 愛那だった

「ぁあ?気安く呼ぶな。名前が汚れんだろが」

とことん低音で本当に恐ろしい姿の 郁斗

「…何故雷龍の情報を全て漏らしたんだ…」

何故か悲しそうで、泣きそうな表情の 蓮

「……え?…私、そんな事してない…」

事実を話した瞬間お腹に莫大な痛みが襲った
怒り狂った 麻耶だった…

「絶対許さねーからな!お前のした事!!!」

激痛の腹を抑え苦しむ紗奈の髪を引っ張り

「裏切り者だけじゃなく…弱いものいじめかよ」
「うっ……はぁ……はぁ……」

悶え苦しむ紗奈に等気にも止めず
髪を引っ張り、もう1発蹴ろうとした瞬間

バキッ バキッ ボキッ ゴッ

目を瞑り悶え苦しむ紗奈に追加の痛みはなく
瞑った目を開けると…麻耶の上に郁斗が居た
これでもか。というくらい殴り続ける郁斗の
拳には、麻耶の血が滲み止まる事を知らない

「お前のせいでお前より紗奈の方が痛ぇんだ」

誰一人とし、郁斗を止める事が出来ずにいる
殴られ続けた麻耶は 意識を無くしされるが儘

「や…………め…………て……郁斗…」

苦しすぎて涙が止まらないがそれよりも
痛みが壮大すぎて声さえもほとんど出ない

「い………………く…………と」

紗奈はあまりの痛みで意識を手放した。
その近くでは、泣いた振りをし、こそっと
笑顔の愛那が居たがその顔に誰も気づかない

「……紗奈!」

自分から突き放しといて意識を手放した
紗奈を見て酷く動揺し向かおうとすると

「紗奈!!!来るな!触るな!紗奈!おい!」

蓮の紗奈 と呼ぶ声は誰が聞いても
嫌っている相手へ向けられた声ではない
蓮が名前を呼んだ瞬間 郁斗が意識を戻し
意識を手放した紗奈を心配し周りを睨み

「お前ら…1人として許さねえーからな!!」

お姫様抱っこし周りを睨みつけ倉庫を出る
そう…紗奈を唯一信じ抜き守れたのは……
5人も居て一人だけ…そう…実の姉弟の郁斗
他は1人として信じきれなかったメンバー。
蓮でさえも…裏切り者扱いをした。

この一件で 紗奈は身体に 酷い傷を遺した
生涯治る事の無い傷が身体に出来てしまった
そして……人を信じる心も閉ざしてしまった
いや……心を捨てたんだ。

紗奈は入院になり、郁斗は荒れた。
郁斗にとっては、たった一人の家族だから
そんな家族を自分でさえも信じていた
雷龍にボロボロにされた傷は残るだろう