「有栖川さんいい?」

飯島翔は、有栖川を呼んだ。

「紗奈を今日から仲間にする」
「姐さんには?」
「私から伝えるからいいよ」
「御意」
「後紗奈の家だけど……」
「?」
「別邸空いてるだろ?そこに住ませろ」
「御意。」
「私は、今の家でいい」
「……だめだ。」
「…あの家だけは…失えない。」
「?……何かあるのかい?」
「親の…仏壇があるのと…弟との…」
「……っ!仏壇に手を合わせても?」
「……はい。」
「では、私めも参ります」

何故か紗奈の家に翔と有栖川が来る事になり
何事もなく家に着き、家に上がる

「……どうぞ」
「「お邪魔します。」」
「何も無いけど…仏壇はそこです。」

仏壇の居間を案内した紗奈

「っ!!!…やっぱり…当たり…か」

仏壇に飾ってある写真を見て
翔は、完全に確信した。

「ボス?」
「有栖川…紗奈…昔に偉大な人に私が
知り合った話をしたよな?」
「はい/うん」
「その方は…紗奈の…父親だったんだ」
「「!?」」
「あの人の…あの方の宝だったんだな」

そう言って悲しそうに紗奈を見始める翔

「そんな凄い方の…娘が…嬢ちゃん?」
「……嘘……でも親は何も言ってなかった…」
「……両親の名前…聞いても?」

翔は真剣な表情で紗奈に問う

「山口壱哉と菜々」
「……間違えない…あの方だ。」
「父親が……飯島さんの恩人……」
「山口……菜々って…」
「有栖川。紗奈の弟を探し家へ連れてこい」
「御意。」

何故か翔は有栖川の会話を強制的に終え
紗奈は有栖川の言葉が引っかかっている
翔に言われ仏壇に頭を下げ 翔に頭を下げ
急ぎ足で家を出て行った。

「……仏壇に…手を合わせても?」
「……はい」

静かに仏壇の前に背筋を伸ばし
真っ直ぐ凛とした姿で手を合わせた。

「これからは貴方達の宝人を守り抜きます
私達に恩返しをさせて下さい。」

紗奈に聞こえない声でボソッと呟いた翔

「さあ…紗奈…行こうか。」
「え…行くって何処に?家は離さないって」
「この家は何があっても手放せさせないよ」
「え?」
「君達の家族は私達が必ず守り抜くよ。」
「……あり…がとう」

それから紗奈を連れ車に乗り家に向かう翔
車の中で紗奈は思っていた事を
我慢できず伝えた

「私の母親の事は知っているんですか?」
「……そうだね…知ってる……」

紗奈の言葉で翔は切ない表情を浮かべた

「……菜々…山口菜々…か」
「?」

意味深な発言に気になる紗奈

「紗奈……君達が菜々の子供たち…か」
「菜々……って」
「菜々と私と私の奥さんは幼馴染みなんだよ」
「幼…馴染…み」
「私は殺し屋の飯島組の息子なんだ
奥さんは殺し屋白坂組の一人娘で
菜々は…ヤクザ…神宮組の1人娘」
「母親…お母さんがヤクザの娘…」
「そう…昔から短気で常に真っ直ぐで
曲がった事をかなり嫌い完膚無きまで
叩き潰し安易には誰も近寄らなかった。
でも…綺麗で…そして優しい人だった」
「短気で…叩き潰し…?」

紗奈は自分が知っている母親では無く
全く知らない母親を知る事になった。

「しかし…あの方の嫁になってたのは
仏壇を見て……知ったんだ。」
「?お母さんと疎遠に……?」
「……菜々はある日突然消えたんだ」
「消……えた……?」
「家と縁切り…俺が気づいた頃には消えてた」
「……そうなん……だ」
「…家に帰る前に弟君と君を
会わせたい人が居る」
「……?」