「私、2こ下に弟がいて。
あっ。智くんって言うんですけど。」
「ほんと私なんかと違って、すごくて。
頑張り屋さんなんです。
小さい頃は、身体も弱くって
私の後ばっかりついてきていたのに
中学校の頃から、野球始めて。
ほんとに毎日毎日。
ずっと家でも、朝
素振りして、ランニングして。
学校行って部活して、
帰ってきてまた練習って
すごい頑張るから。
家族みんなで応援していて」
思い出したように、さとみが遠い目をする
「ほんとすごい練習するから、
いつもお腹空いたーって言っていて。
『智くんスペシャル』って料理があって、
カロリー高いものばっかり食べたがるから。
お母さんが智くんの健康を考えて、
野菜たっぷりの……」
社長がいつのまにか、
手にあごを置いた姿勢で
さとみをじっと見つめている。
「あ、すいません。
私智くんのことになると、
つい」
一人でベラベラ。
社長には面白くもなんともないはなし、
夢中になって。
長々としてしまった。



