さっきのうなされていた声が嘘のように、




規則正しい寝息が聞こえだした。




ほんとに?




本寝?



これは、寝ぼけて?




社長…




私を誰かと間違えてるの?




だって、まるで




離したくないみたいに




さとみを抱きすくめる腕。




抜け出そうと、ちょっと動くと




社長に、さらに強く抱きしめられた。




力強い腕はほどけない。




社長は、寝ているのに。




嘘でしょ




どうしよう。




むきだしの肌に




社長の熱い腕が触れていて




どきどき




汗かいてきた




ちょっとねじって、社長の顔を見上げる。




スヤスヤと寝息をたてて、




社長が、子供みたいな顔で眠っている。




いつもの近寄りがたさが嘘のよう。




…なんで。