雨が残る夜空。 いつの間にか雲の切れ間に 丸い月が顔をだしていて 路地にできた水たまりに映っている。 「もう逃がしてやれない。」 切なげに まっすぐさとみを見つめて 葛西が告げた。 「幸せになんて 俺は お前がいないと 幸せになんてなれないから。」 さとみに言葉が届いているか 確かめるかのように 葛西がさとみの瞳をのぞきこむ