びっくりした気持ちのまま 社長を、見上げて さとみの身体は 無意識に動いていた。 やだ、泣かないで。 社長が泣くなんて 私のことで、 泣くなんて サー。 少し落ち着いた静かな雨音と 肌を濡らす空気の中 社長の低い声が聞こえる。 見たことのない社長の姿に 傷つきやすさが見えて 目を逸らさずさとみを見つめる 無防備な瞳。 あ。 数センチの距離の 社長の瞳の中に 私がうつってる。 社長の中に 確かにみえる 私の存在。