「あんなやつらのために?




自分を売ったのか?」




社長の残酷な言葉に、




思わず顔をあげたさとみが言う。




「そんな言い方、しないでください」




振り返った社長と対峙するような恰好になるさとみ。




「智くんは、




お母さんも




…そんな




言い方しないで」




最後の方は言葉にならない。




「家族だから…」


 

しぼりだすようなさとみの声。




「何言ってる。




現実見ろよ。




いいように利用されているだけじゃないか」




吐き捨てるように社長が言った。




「母親も最悪だけど。




あの弟だって、とめもせず。




必要なくなったら、




お前を簡単に切り捨てたじゃないか」




やめて





やめて





社長の言うことを




拒否するように首を振るさとみ。