私は何も持っていなくて。




何も、持っていなかったけど。




私の手を握ってくる




智くんの小さな手。




「おねえちゃん」




って、握ってくる小さな手。




あの時




この手だけは守ろうと




誓ったの。




何も持っていなかった私の




たったひとつの支えだった。




たったひとつの




私が持っていたもの。




それさえ無くなってしまったの?