少し声色をかえて、 さとすように、お母さんが言う。 「さとみ。 智のためなのよ? 智が大事でしょ?」 無言でうなずくさとみ。 「うん。 ごめんなさい」 「だから、ごめんって、どういう意味なのよ。 もうあんたしかいないのよ。 しっかりしてよ!」 また、お母さんの声が いらだったように大きくなる。 何て言えばいいのか、 さとみは顔を上げることもできなかった。 お母さんがため息をつく。 「あんた、わかっているんでしょうね。」 お母さんのきしんだ声。