「でも、300万なんて。
社長にどうやって、みとめてもらえるのか。
返せないかもしれない。
そう思って」
「まだ、期限まで三分の二近くあるのに、
あきらめることばかり考えて。
あげく、コソコソ隠れてホステスか」
「平気な顔して…」
社長の声が途切れる。
涙で潤んだ瞳で、さとみが社長を見た。
「ごめんなさい」
震える自分を押さえるように、
押し殺した声でさとみがつぶやいた。
…
「お前マジでむかつくな」
顔をあげた社長が言った。
さとみのその表情は、
許しを請うのではなく
まるで俺をいたわるかのようで
「うぬぼれてんじゃねえよ。
お前に俺を傷つけるチカラなんかないんだよ。
最初っから言ってるだろう。
ただの、暇つぶしなんだよ」
吐き捨てるような社長の言葉。
社長はやっぱりすごくて、
私を一番傷つけるカードを切ってくる。



