「何が違うんだよ」
「借金の件は解決したはずだろ。
うちの会社で働き続けるためじゃなかったのか。
なんのための契約だったんだ」
言葉が出ないさとみ。
何から話せばいいのか。
ついてしまった嘘が、
言おうとする言葉の邪魔をする。
「300万ってのも、嘘か。
もっとあるのか」
首を振ることしかできないさとみ。
社長がひきつった笑いをして言う。
「はっ。
そもそも、その話は本当の話なのか」
俺としたことが、何の証拠もないのに、
この子の話をうのみにして、調べもしていなかった。
そんなことに、今更気づくなんて。
「本当ですっ」
泣きそうな顔のさとみが言う。



