「…寂しくないですか?」




さとみの言葉に




葛西が手を止める。




寂しい?何がだ




「社長はそれで、幸せになれるんですか?」




さとみの目に、涙が浮かぶ




葛西はさとみを見るけれど




暗くて




葛西には、さとみの顔が見えない







「お前のいう幸せってなんだ」





見えないさとみに向かって社長が言った。





「大事なひとが、寂しい時に




そばにいれることです。




大事に想う人が、そばにいてくれることです。




ずっと、ずっとそばにいて




それが、なんでもない




いつもの日常だって思えたら




幸せじゃないですか」




今みたいに。




しんどい時も




そばに、社長がいてくれて




嬉しくて、ほっとして




優しくされることに、




高い体温より




胸が熱くなる




安心できて





わたし、幸せなんです。




さとみの頬を、涙が伝ってしまう




「お前の家族みたいにか」




葛西がつぶやく




『寂しいときに、そばにいてくれるではなく、




そばにいれること、』



ね。



お前らしいな