先輩の手…ゴツゴツしてるな…。
やっぱり男の人なんだ……
手までかっこいいて、どういうことですか…っ!

私の心臓の音、先輩に聞こえてないよね…?

「おい、聞いてんのか?」

先輩にそう言われ前を向くと…

「…っ…」

先輩のお顔がど、ど、どアップに…っ!

「き、聞いてませんでした~…っ!」

私はたまらず自分の顔を両手で覆った。

「聞けよ…」と先輩にまた呆れられているが、これは流石に死んでしまう。
心臓に悪い……近すぎ注意報出してほしかった…。

心臓の音はバクバクと妙に大きな音を立てている。

だって、先輩のお顔…綺麗すぎるよ……
こんなに近くで見たのは初めてで、心臓がおかしくなりそう。

「あの…私半径1メートル以内に近づいてもいいんですか…?」

「…っ…!」

私がそう言うと、先輩はバッと距離をとった。

「あっ、ごめんなさい! えぇっと…、ここはまず公式を覚える、ですね…っ!」

「……聞いてんじゃん」

「先輩の声は耳に残るので、いつでも思い出せますよ」

先輩の声は私の大好きな先輩の声。
きっと目を閉じていても、先輩の声だってわかるんだ。