「…実は…、テストの存在忘れてて、さっき思い出したんです……」
「……」
「忘れていたのでテスト勉強も全く。 授業も結構ふわふわして聞いてて……」
怒られちゃうかな?
そんなこと俺が知るかー!って。
もし赤点を取ってしまったら補習はもちろん、内申も下がってしまう…
そんなことで家族に迷惑や心配かけたくない。
…って、こんなこと言ったって先輩をまた困らせてしまうだけだ……
「でも大丈夫ですっ! 先輩に言ったらなんだかスッキリしました! 土日でやれるだけ頑張ります…!」
出そうになる涙をぐっとこらえて、私は笑顔を作る。
今日から徹夜並みに頑張れば、数学以外は覚えられるはず。
問題は苦手な数学で、赤点取らないようにしなきゃってこと。
うん、きっと大丈夫……
「…勝手に終わらせんじゃねー」
え……
先輩は一言そう言って私を睨んだ。
なに…?
「大丈夫じゃないのに、大丈夫とか言うな」
…先輩…
ほんとに、ずるいよ……
そういうこと言われると甘えたくなってしまうんだって…
閉じ込めてる弱い自分が、出てきてしまうんだって……
黒崎先輩はかっこよすぎて、キラキラしていて、優しくて。
先輩のそばにいるとドキドキが止まらないのに、どこか安心するようにあったかい。