「私…自分の気持ちを伝えることしかできないけど」

「ううん。 自分の気持ちを伝えることが、一番難しいんだよ」

私の言葉を遮るように、またあったかい言葉が返ってきた。

「純のこと、好きになってくれてありがとうね」

流川先輩にそう言われて、本日何度目かわからない涙スイッチが発動する。

「こちらこそ~~! いつもありがとうございます~…!」

嬉しくて半泣き状態。

美羽にさりげなく「これ使って」と可愛らしいハンカチを渡された。
その心遣いにも「ありがと~」と感謝して、受け取ったハンカチで涙を拭く。

「黒崎先輩のそばにいる人が、流川先輩で…良かったです」

心からそう思う。

黒崎先輩が人と関わりたくないというんだったら、そう思う中に心を許せる人がいて良かった。

それが流川先輩で良かった。

先輩をひとりぼっちにしないでくれて、ありがとう。

「うん…それ、すごく嬉しい。 ありがとう」

流川先輩は頭を少しかくと、照れたように笑っていた。