「でも先輩がこの道通ってること知りませんでした…! 私すごくラッキーですね!」

そう言っていつものヘラっとした顔で笑うチビ。

どこがラッキーなんだよ…そんな目にあっといて……

大体俺はこんな目立つルートは使わない。

たまたま廊下から3年があんたを突き飛ばすとこが見えたから、だから俺はなぜか無性に焦って、苛立ってそれでここまで……

「はぁ…」

俺は小さく溜息をついた。

「飯食う条件追加」

「…!」

「昨日正人と一緒に来た道で行き来すること。 それが守れないなら」

「守ります…! 約束します!」

ほんと、騒がしいしうるさいし、なんなの。
こいつが俺の前に出現したせいで、毎日が目まぐるしい。

「あと着くまで声も出すな」

「……」

そう言うと、こいつは大人しくコクコクと小さな頭で頷く。

俺はこのちっこくてうるさい後輩が嫌いだ。
初めて会ったときから。

なのになぜか俺の目はこいつを視界に入れる。
さっきだって、無意識に体が動いていた。

どこかに、こいつ専用のスイッチがついてるみたいに……ーー