嫌いなんだよ俺は。
周りの人間も、こいつみたいに太陽の下でぬくぬくと元気に育ってきたやつなんかは特に……

なのにこいつは、ズカズカと土足で俺の中に入り込んでこようとする。
その花みたいに明るい笑顔で、"好きだ"とかいう嘘か本当かもわからないような言葉を俺に、毎日うざいくらい伝えてくる。

早く俺に幻滅して、恐怖で近寄れなくなればいいんだ。
そうしたらこんなにイライラすることもなくなる。


「面倒な後輩で、しつこくってごめんなさい…!
それなのに先輩はやっぱり、優しいですね!」

は……?
何を勘違いしたらそう思えるんだろうか。

「俺が優しい…? 頭大丈夫か?」

「いたって正常ですっ! 先輩、私の我儘きいてくれて、ありがとうございます…!」

何がありがとうなんだよ……
わからない…こいつの考えてることは全く意味がわからない。

元気よく返事をする後輩に、俺は怪しいものでも見るかような目を向けると、目の前でくりっとした大きな目が更に大きくなっていく。

「…ひ、ひゃ〜…っ、その鋭い目も、大好きです〜っ!」

ほんとにこいつの言動はわけがわからない……

「……うるさい…早く食え」

俺は大きく溜息をつくと、残りのパンを食べ始めた。ーー