「ほんとですか!? では黒崎先輩、私を奥さんにしてください…!」

こいつにいたってはただのバカ。
どうやったらそんな思考回路になるんだ?
何が目的か知らないけど、これ以上俺を引っかき回すのはやめてほしい。

「頑張っていい奥さんになれるよう精進しますのでっ!」

…はぁ……

「バカなこと言ってないで早く食え」

「やはりダメですか…」

俺はもう無視してパンを食べ始めた。
しかし嫌がらせのごとく、前から強い視線を感じる。

「…あのさ、そんな見られると食べづらい。 こっち見んな」

「お気になさらず…!」

いや、気になるっつーの!


「…黒崎先輩は小枝のこと、どう思ってるんですか?」

突然、ずっと黙って俺を睨みつけていた町野が口を開いた。

どうって……

「…毎日うるさくてうっとおしい、バカでチビでマヌケな後輩」

そう、これをこのチビに何度も言っているのに全く引き下がらない。
ここまで言われて俺のことを嫌わないってどういうことだよ…って逆に俺が聞きたいんだが…?

「何か勘違いしてるかもしれないので言っときますが、小枝は今まで彼氏も、好きな人すらいませんでした」

……は? だからなんだよ……
ならこいつが俺のこと好きだとか言ってんのも、どっかで頭ぶつけておかしくなってるだけじゃねーの?