雄大の言ってたこと、なんだったんだろう…?

不思議に思いながらも、美羽と2人で三葉高校に向かう。

学校に着くと、"キャーキャー"という黄色い声が聞こえてきた。
その方向を見ると、少し距離はあるものの、黒崎先輩と流川先輩を囲んで女の子たちが何やら騒いでいる。

入学当時と変わったこと。

それは、黒崎先輩が睨んでもこわがる人が減ったということ。

逆に喜んでいる人さえいる。
私のような人だ。
案の定、黒崎先輩はどんどん人気になってっている。

前までは一直線に先輩のところまで走っていけてたけど、さすがにもうできなくなってしまったな……

先輩に迷惑がかかりそうでためらってしまう。

お昼にはまた会える。
だから今は我慢しよう……

「小枝」

何かに耐える私を見て、隣にいる美羽に名前を呼ばれた。
私は反射的にその声のほうを向く。

「小枝はほんとに…黒崎先輩のことすごく大事にしてるよね」

「え…?」

「自分のことよりも黒崎先輩のために動くし」

「…ううん、全部自分本位だよ……」

先輩のこと、私が思ってるよりずっと…たくさん困らせてると思う。