「もう! そういう問題じゃないんだって!」

あらら、怒らせちゃった…

いつもこんな感じで美羽がダメなことを止めてくれたり、色々話を聞いてくれたり、相談にのってくれたり…etc
なんてゆうか、お姉ちゃんみたいな存在でもあるのだ。

流川先輩がお兄ちゃんで、美羽がお姉ちゃん…なんて贅沢…っ!

「……ふっ…あははははは!」

「「え…?」」

突然聞こえた笑い声に、美羽と声がかぶった。

流川先輩は口を抑えて必死に笑いを止めようとしているが、肩が震えていてバレバレ。

「流川先輩?」

「今、面白いところありました?」

今度は美羽と二人で質問大会になっている。
先輩が何が面白くて笑ってるのか、全くわからない…

「…ごめんごめん、かわいくてついね」

…かわいい、とか流川先輩はすぐ口にするけど、この言葉に何人の女性が被害にあったかと思うと恐ろしい。
先輩にとっては、たぶん挨拶みたいなものなのだ。
人気者の流川先輩は、意外と天然である。

「今日からよろしく! 花町コンビさん」

そうして再びあの《キラキライケメンスマーイル》を繰り出す流川先輩。

先輩が言った"花町コンビ"とは、私の”花咲”と美羽の”町野”という苗字から取って付けられた二人のあだ名のようなものだ。

小学生のときに付けられ、それが中学〜高校と定着していて、私たちをまとめて呼ぶときなどに使われている。

「あ、そろそろ行かないと! 昼休みになったら教室に迎え行くから待っててね」

先輩は「またあとで」と手を振ったあと、そのまま校舎に入って行ってしまった。