その青に溺れる


「よく・・・・・・わかりません・・・・・・
 どうして私なんですか・・・・・・地味で、目立たなくて
 可愛くも無い・・・・・・
 周りにいっぱい居るじゃないですか・・・・・・綺麗な人」

あふれ出した感情は留まることを知らずに言葉として滑っていく。
彼はただ黙って頬を拭い、ずっと優しい目で見ていた。

「それに・・・・・・貴方なんてタイプじゃなかったし
 髭だって少し痛いし、何考えてるか全然わかんないし
 煙草臭いし、自分勝手にキスするし、
 初体験だって酔っ払ったままだったし」

そこで初めてふと彼が笑って言った。

「すごいディスりようだな」

「最低です・・・・・・ていうか、最悪です・・・・・・もっと・・・・・・・・・・・・」

あの日を思い出して気分が曇り出していく。
酒と煙草の匂い、そして香水の匂いの混ざりあった空気に瞼を固く閉じる。

「もっとなに」

飽くまで優しく訊いてくる彼に言葉は止まらなかった。

「もっと・・・・・・ちゃんと好きな人と、好きになって、したかった・・・・・・」

彼は深い溜息を吐き、目を見て言葉を紡ぐ

「もう気付いてるだろ、俺のことが好きだって、
 俺も柚月が好きだ・・・・・・それ以外に俺にしてほしいことでもあるのか」

そう言われても直ぐになど出てこないし、なのに彼は構わずに唇を塞ぐ。
ずっと何も感じなかったのに、何故か嫌じゃなくて、違う感情が溢れていた。