その青に溺れる


「なにもしてません、どうして私を巻き込むんですか」

思わず声を強く上げ、息を呑んで続けた

「私に関係あるんですか・・・・・・それ」

「何言ってんだ?」

表情一つ変えない彼が眉間に深い皺を寄せていた。
そのうちに彼の目線は自分を通した後ろ側に投げられ、背中越しに車が停まる音が聞こえる。
ドアが開く音がして此方に向かってくる足音と共にその姿が隣に現れた。

自分より少し背が高く、丸まった短い癖毛に丸い輪郭の童顔の可愛らしい男の子。
その男の子は彼に車のキーを渡しながら手のひらを見せると、彼はキーを受け取ってから財布を出して数枚の札を手のひらに置く。

それを横目で眺めてると彼の声が聞こえた。

「そいつ俺の妹」

聞きたいことと言いたいことが多すぎて言葉を出す気力が無くなる。

「こんちわ、正真正銘の妹だよ、ほら」と言って自分の手を取り、自身の胸に当てる男の子。

確かにそこには女性特有の柔らかさがあり、よく見れば体の線も少し丸みを帯びていた。

「ね?」と男の子は可愛く言って彼に向かって強請るように手のひらを出す。
彼は持っていた煙草を差し出し、そこから一本を手にして口にすると自然な流れで彼が火を点け、男の子は煙を燻らせて自分を見つめる。

「すごいね、こんな子どこから見つけて来たの」

「余計なこと言わないで早く帰れ」