その青に溺れる


面接はとても好感触で「是非明日にでも」と言う相手側の好意を断ってしまい、一気に残念な雰囲気に包まれて終わろうとしていた。

「申し訳ありません、今の仕事が残っていて・・・・・・」

「では、それが終わってから電話下さい、いつでもお待ちしてますので」

なぜそんな事を口にしていたのか自分でも判らない。
思ってもないことがいつも口から滑り落ちる。
自分は相手の言葉に「必ず連絡します」と告げ、その場をあとにした。

そして外に出ると背中を向けた彼の姿が見えた。
堤防に腰を下ろし、胡坐を搔いて肩を落とし、呆けているように見える。
一瞬善からぬ事を思い付いたが、普通に近づいて話しかけた。

「なんですか、話って」

「あ?あぁ・・・・・・」

怪訝な声を上げた様子と続かない言葉、それは実際に呆けてたらしい事を表していた。

「なんですか、早くしてください」

急かす自分に彼はゆっくりと背伸びをして大きな欠伸をする。
暢気に煙草を取り出し、口にして火を点け、ゆっくり吐き出す。
表情一つ変えない彼が徐に口を開く。

「柚月」

「はい」

「柚月・・・・・・」

「なんですか」