その青に溺れる



不意に鳴るチャイムに直ぐにギターから手を離し、傷つけないように静かに置きながら訪問者の様子を伺った。
五月蝿かっただろうか、と思い玄関まで足を運んでドアスコープから覗き込む。

そこに居たのは赤い短髪の綺麗な顔した男性、此方を覗き込むように顔が近づいて思わず顔を引くが、再び寄せられるように覗くと、男性は煙草を銜えながらチャイムを鳴らし始めた。

よく見ればその背後は薄暗く、それは夜を示していて、男性の様子から憶測するに間違いなくクレームだと思ってドアを静かに開ける。

「すいません・・・・・・うるさくて、気をつけますので・・・・・・」などと先手を打つ自分

構わずに男性は言葉を掛けながら口にした煙草を仕舞う。

「なんだ居たんだ、ていうか可愛いね、似合ってるよショートも」

そう言いながら自分を押し避け、慣れた素振りで部屋へ入り込んでいく男性。
その言葉にどこかで会ったことがあっただろうかと思考を巡らせる。

赤茶色の短髪、綺麗な肌には髭すら見当たらず、小さい顔に少し垂れた目と常に口角の上がった口元が印象的な男性。
舐めるように見る自分を気にも留めず、男性はソファーに座って隣に座るよう手のひらで2回叩いて見せた。

自分は誰だろうかと必死に探りながらもソファーの端へ腰を下ろし、首を傾げながら当てもなく視線を投げる。

すると甘い香りがし、細いながらも筋肉の付いた腕が腰元に見えた。
肩に置かれた顔、耳元を擽る息、両手ごと抱きしめられてる状態の自分は頭で何とか抵抗するしか出来ずに『細いのに力あるな』などと暢気に構えていた。
すると男性は急に声を上げる。

「あぁ、いいねぇ、これはナイスフィット感だ」