その青に溺れる


煙草を吸って吐き出す音と鼻息を当て、稔は口を開く。

「どうだろうな、人それぞれじゃないの」

その口調が他人事のように聞こえて答えを急かした。

「真面目に聞いてるんだけど・・・・・・」

稔は少し鼻を啜り、深く息を吐きだす。

「・・・・・・参考にならないかもだけど、俺だったら嫌だな、まぁ、出来なくもないけどさ、それって一人でするのと大差ねぇもん」

判るようで判らないような要点の得ない話に返事も出来ずに居ると

「でも」と稔が口を開き、言葉が続く。

「真面目な奴も居るからなぁ、えっと・・・・・・佐伯さんだっけ?あの人も結構真面目だと思うけどな、真面目っていうより興味ないかもなぁ、あれは」

そう言って稔は笑った。

「どこが」と自分が思わず言うと

「だってさ、うちの店来ても全く女と話さないの、マジで一言も喋らないからな、あの人」

稔の話に鼻で笑ってしまい言葉を返す。

「何しに行ってるの、それ」

「まぁ、月に一回も来てないけど"付き人"を探してるって言ってたからさ、だから柚月に話したはいいけど、もうとっくに決まってると思ってた」

目的地にタクシーが着き、料金を支払いながら稔に礼を言って電話を切った。