深夜0時、ドアの音がして携帯を枕元に戻して目を瞑る。

少し引きずる足音で酔っているのが判り、それは直ぐに布団の中へ滑り込み、酒の匂いに混じって微かに女性物の香水が鼻に付いた。

アルコールを充満させた体が自分の体を覆い、鼻先で髪の毛に触れたあと口元へ降り、唇が重なる。

酒と煙草の匂いと味で掻き回され、首元を伝う手に声が上ずる。
その手は止まることなく首元を伝い、肩から手先まで降りて裏側をなぞり、脇から滑るように落ちてシャツの裾から手が滑り込む。

その間もキスは止むことなく、更に激しさを増し、その手はくまなく体中を行き交い、急に顔を上げた彼はシャツを巻き上げて脱がし、下着を取って自身のシャツを脱いだ。
程よく引き締まった身体に再び覆われ、激しく口内を乱され、手は休むことなく身体中を弄り、彼の唇が身体の線に沿ってなぞられていく。


脈を打つように跳ねる身体、短く漏れてしまう吐息、上ずる声。
キスから始まった突然の行為に言葉を上げても、それが言語になってるのか判らず、耳に届くのは彼の荒い息遣いと名前を呼ぶ声。

身体中を撫でる手を避けようとすると絡んで来て、そこに力を入れようとすると唇が身体の線をなぞる。
次第に力が抜け、彼は顔を歪ませ漏れ出した息を止めるように自分の唇を塞いだ。

思わず顔を顰める自分を呼ぶ彼の声が優しく落ちる。
激しい息遣いと顔中に降り注ぐキス、寄せては返す身体。

初めて見る彼の表情が薄々と見えていた。
悩ましげに此方を見て、揺れる髪の先は窓から漏れる月明かりに照らされ、
その青が海のように見えて、溺れるような気がして背中に手を伸ばす。
波は止め処なく繰り返し、まるで自分を浚うかのようだった。