その青に溺れる


「眞田柚月、23歳・・・・・・ふーん・・・・・・」

とあるスタジオの個室でとても低い声を落とし、椅子の肘掛で頬杖を付きながら履歴書に目を滑らせ、じっと舐めるように此方を見る人。

およそ20代後半くらい、少し青みが掛かったショートの髪は波のようにうねり、見た目は猿のような童顔で右耳に2つと左耳に一つピアスを下げ、整えられた綺麗な口髭と、少し乱雑な顎髭が特徴的な男性。

その男性はストリート系のファッションに身を包み、所謂[萌え袖]をした状態で考え込むように体を左右に揺らしている。
手にした履歴書は既に紙切れのように萎れていた。

「いつから来られる?」

男性は此方を見ないまま口を開く。

その問いに戸惑いながら答えた。

「あ、えっと、いつでも大丈夫です・・・・・・」

自分の声に男性は此方に目線を上げ、質問を投げ掛ける。

「彼氏は?」

「居ません・・・・・・」

「いつから?」

質問に拒否も出来ず黙り込むと、同じ質問が繰り返される。

「なぁ、聞いてんのか?いつから居ないのか聞いてるんだけど」と言う口調は怒ってはないが、急かしてることだけは判った。

半ば言わされる形で「ずっとです・・・・・・」と正直に答えた。