その青に溺れる


金曜日までに2~3度程彼女が来て、約束してから涼太は一度もメールを寄越さず、仕事は毎日のように睫の多い女性が来ている。

最早今日で何日目かも分からない。
飽きもせずに同じ質問を繰り返し、彼はそれに嫌な顔一つせず答える。
『なんでそんな態度違うの』と小馬鹿にし、鳴らない携帯を手にブロックゲームで遊ぶ。

そのゲームが一番何も考えずに淡々と出来て都合が良かった。
音が無くても差し障りなく、画面に現れたブロックを眺め操作して消すだけ。
メールを打つより指先の動作が少なくて彼も注意しないだろうと思った。

次第にブロックで一杯になる画面を見ながら、涼太の声が聞きたくなって手を止める。
けれど、金曜日を思って気持ちが乱れる。
浮かび上がる[あなたの負けです]の文字にジョニーとケニーが飛び出してくる。


《元気出せよケニー、また誘えばいいじゃないか》

《あぁ、でもどうやって誘えばいいのか分からないよ》


『多分、もう誘えないよジョニー』と嘆く自分に彼の声が聞こえる。

「申し訳ないけど、そういうのは全部断ってるので」

「でも、お酒が好きだと聞いてますよ、一度くらいは接待させてくれませんか?」

全く状況が掴めない中、耳にした言葉だけで情報を辿る。
これは所謂"夜の接待"と言うものだろうか、その言葉の意味はよく知らないが、恐らく酒を飲んだり、綺麗な女性の居る店に行ったりするのだろうと考えた。

「確かに」と彼は言って自分に視線を投げ、直ぐに戻して女性に言う。

「酒は好きだけど、人と呑むより一人が好きなので」